「移動平均線は遅れるから、FXではいらない」
「レンジ相場でダマシが出て負ける」
「他のテクニカル分析の方が勝てる」
そんな声を聞いて、移動平均線を使い続けるか迷っていませんか。結論から言うと、移動平均線は「いらない」と捨てる前に、時間足と使い方を見直す価値があります。
私はドル円の約20年分のデータを使い、移動平均線のクロスについて約400万通りから最適解を検証しました。同じ「短期5・長期25」でも、5分足では負け越し、日足では基準を満たす組み合わせが126通り出ています。
この記事では、移動平均線がいらないと言われる理由と検証の結果、遅れとダマシを補う使い方、時間足・スタイル別の設定の目安をまとめました。

■著者情報
金子 剛
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。投資歴約20年、FXコンテスト優勝(Forex.com開催)。海外FX業者MYFX Marketsにて記事連載中。
自作EA(自動売買プログラム)でバックテストを回し、手法が機能するかを感覚ではなく数字で検証している。調べた組み合わせは1億通り以上。
▶︎手法検証記事一覧
▶︎X(旧Twitter)
FXに移動平均線はいらない?重要なのは時間足と使い方!
FXに移動平均線はいらないのか。私の答えは「捨てるのはまだ早い。ただし、時間足と使い方を間違えると本当に役に立たない」です。
移動平均線の弱点は本物ですが、弱点が強く出る時間足と、出にくい時間足があるからです。私自身、教科書どおりの使い方は一通り試しましたが、それだけでは勝てませんでした。自分でバックテスト(過去のデータで売買ルールを試すこと)を始めたのも、それがきっかけです。
実際、移動平均線は今も手放していません。いま使っている道具は、移動平均線・MACD(移動平均線を応用したインジケーター)・トレンドライン・水平線の4つです。
この章では移動平均線が「いらない」と言われる理由と、それでも役立つ場面、使ったほうがいい人を整理します。数字で示す根拠は、次の章の検証で紹介します。
移動平均線がいらないと言われる3つの理由
移動平均線がいらないと言われる理由は、主に「遅れる」「ダマシが続く」「期間の正解がない」の3つです。
- 価格より遅れて動く
移動平均線は過去の一定期間の終値を平均した線です。価格が動いたあとに線が動くので、期間が長いほど反応が遅れます
ゴールデンクロス(短期線が長期線を下から上に抜けること)が出たときには、上昇の一部がすでに終わっていることも珍しくありません - レンジ相場でダマシが続く
方向感のない相場では、短期線と長期線が何度も交差します。シグナルが出たのに逆へ動く「ダマシ」が続き、クロスのたびに売買すると、小さな損切りが積み重なりやすくなります - 期間の正解がない
5・25・75・200のような定番はあっても、「この期間なら利益が出る」という答えは決まっていません。期間を変えるたびに成績も変わるので、設定探しに迷い込みやすい道具です
どの理由も移動平均線の性質そのものなので、知らずに使えば「いらない」と感じるのは自然なことです。逆に言えば、性質を知って使い方を工夫すれば、弱点は小さくできます。

私も初心者の頃は、本に載っている定番の設定をそのまま使い、普通に損をしました。定番の数字が悪かったのか、使い方が悪かったのかは、当時は区別できませんでした。
その区別をつけるには、同じ条件で何通りも比べるしかありません。この記事の数字は、その比べ方で出しています。
それでも移動平均線が役立つ3つの場面
それでも移動平均線が役立つのは、売買の合図としてより、相場の状態を確かめる物差しとして使う場面です。線の向きや並びは、ローソク足だけでは見落としやすい流れを、いつも同じ基準で示してくれます。
- トレンドの向きを確かめる:線が上向きで価格が線より上なら上昇、下向きで線より下なら下降と、ひと目で判断できます
- トレンドの強さを測る:短期・中期・長期の線の並び方や、線どうしの間隔の広がりで、勢いの強弱を比べられます
- 押し目買い・戻り売りの目安にする:上昇中の一時的な下げ(押し目)で価格が線の近くまで下がった場面は、流れに沿って買う候補です。下落中の戻りも同じ考え方です
例えば、私が教科書どおりの使い方を一通り試したとき、豪ドル円は値動きが素直で、移動平均線でも扱いやすいと感じました。トレンドが素直に出る相場ほど、線の向きや並びが判断の助けになります。
「いらない」と感じたら、移動平均線を売買の合図だけに使っていないか一度見直してみてください。
移動平均線がいらない人・使ったほうがいい人の特徴
移動平均線を使うかどうかは、取引する時間足と、売買の決め方で分かれます。弱点の遅れとダマシは、短い時間足で線の交差だけを合図にしたときに、表に出やすいからです。
移動平均線がいらない人の特徴
- 線の交差だけで、売買のすべてを決めたい人
- 短い時間足で、定番の数字をそのまま使おうとしている人
- 水平線や値動きだけで、すでに判断の軸ができている人
移動平均線を使ったほうがいい人の特徴
- 相場の向きを判断する基準を、まだ持っていない人
- 日足など、長めの時間足で取引する人
- 複数の時間足を見て、流れに沿って売買したい人
「いらない人」に当てはまっても、時間足や使い方を変えれば「使ったほうがいい人」に移れます。次の章で、その根拠になる検証の結果を見ていきます。
FXは移動平均線だけで勝てる?ドル円20年のバックテストで確認
FXは移動平均線だけで勝てるのか。ドル円の約20年分で検証した私の答えは、「教科書どおりの使い方では難しいが、時間足と決済の仕方しだいで基準を満たす設定は残った」です。
移動平均線のクロスでは、8つの条件のうち7つで、基準を満たす設定が見つかりました。一方で、教科書どおりのクロス売買や、1本の線だけで売買するルールは、基準に届いていません。
この章では、検証の条件と3つの結果を順に紹介します。
検証の条件と合格の基準
検証はドル円の約20年分のデータを使い、3つの基準で合否を判定しています。
- 通貨ペア:ドル円
- 期間:2006年7月〜2026年6月の約20年
- 検証ツール:MT5(取引ツールのMetaTrader 5)のストラテジーテスターで、1分足の始値・高値・安値・終値から売買を再現
- 移動平均線:SMA(単純移動平均線)の短期線と長期線のクロス
- 時間足:5分足・30分足・4時間足・日足の4つ
- 決済の方式:ドテン(決済と同時に反対方向へ入り直す)と、利確・損切りの幅を固定するTP/SLの2つ
- 初期証拠金とレバレッジ:10万ドル・100倍
- 検証の規模:8条件で約400万通り。MT5の遺伝的アルゴリズム(有望な組み合わせに絞り込んで試す方法)で最適解を検証
合格とするのは、次の3つをすべて満たした設定だけです。
- PF1.2以上:PF(プロフィットファクター)は総利益÷総損失。1.0を超えれば黒字で、1.2以上でようやく実戦を検討できる水準です
- 最大ドローダウン25%以下:資産の落ち込み幅の最大値です。25%を超えると、精神的に耐え続けるのが難しくなります
- 取引回数100回以上:回数の少ない好成績は、たまたまの可能性が高く、統計的に信頼できません

基準をPF1.0ではなく1.2に置いているのは、2つの目減りを見込んでいるからです。1つは実口座のスプレッド、もう1つは将来の相場が過去と同じにならないことによる成績の低下です。
過去20年でぎりぎり1.0を超えただけの設定は、そのどちらかで簡単に赤字に転びかねません。
教科書どおりのクロス売買は、30分足で使える設定ゼロ
「ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り」
この教科書どおりの売買をドル円30分足の約20年で試すと、基準を満たす設定はひとつもありませんでした。
30分足はデイトレードでよく使われる時間足です。逆のクロスが出たら決済して反対方向へ入り直すドテンの形で、短期線と長期線の組み合わせ4,560通りから最適解を検証しました。それでも、いちばん成績のよい設定でPF1.13と、基準の1.2に届いていません。
4,560通りの中から最適解を探しても届かなかったので、「数字の選び方が悪かった」では説明がつきません。少なくともドル円の20年では、30分足のクロスをそのまま合図にする使い方に、長期的な優位性は確認できませんでした。
何を使うかと同じくらい、何を使わないかを決めることが大事だと私は考えています。「この組み合わせはやらない」と決めるだけで、守れる資金があるからです。
ただし、ここでの「ゼロ」はドテンで売買した場合の結果です。決済の仕方を変えた30分足の結果は、後半の「デイトレの移動平均線」の項で紹介します。
同じ設定でも、時間足を変えると結果が逆転
同じ「短期5・長期25」でも、置く時間足を変えるだけで成績が逆転しました。時間足が変わると、移動平均線が実際に何時間ぶんの値動きを見ているか(参照時間)が変わるからです。長期25本は、5分足なら約2時間、日足なら600時間分の値動きを平均しています。
時間足 | 長期25本の参照時間 | PF(最良) | 基準を満たした組み合わせ |
|---|---|---|---|
5分足 | 約2時間 | 0.979 | ゼロ |
30分足 | 12.5時間 | 1.080 | ゼロ |
4時間足 | 100時間 | 1.16 | ゼロ |
日足 | 600時間 | 1.355 | 68通り |
数字は1つも変えていません。それでも、5分足では負け越し、日足では実戦を検討できる水準まで成績が上がりました。
正直に言うと、私は「定番の設定は使えない」という結論を予想していました。データが出した答えは、「定番の設定が悪いのではなく、置く時間足が違っていた」です。
移動平均線を「いらない」と判断する前に、まず時間足を見直す価値があるのはこのためです。
FXで移動平均線1本で勝つ方法はある?
移動平均線1本だけで機械的に売買する方法は、少なくとも私が試した200日線のルールでは、基準に届きませんでした。1本の線と価格の交差だけでは、方向感のない時期の小さな交差もすべて売買になり、そこで損失が積み重なるからです。
検証したのは、日足の終値が200日線(200日移動平均線)を上に抜けたら買い、下に抜けたら売りに乗り換える単純なルールです。期間はドル円の約20年分で、取引コストのスプレッド(売値と買値の差)は0.2銭とし、スワップポイントは含めていません。
結果はPF1.08で、基準の1.2を下回っています。157回の取引のうち、100日以上持った22回で、合計プラス13,506pips(ドル円では1pip=1銭)を稼いでいます。残りの135回は、合計でマイナス12,437pipsでした。さらに、いちばん大きく勝った1回(2021年2月〜2022年12月の買い)を除くと、20年の合計はマイナスです。
利益の大半は、大きなトレンドに長く乗れた一部の取引から生まれていました。1本の線だけでは、その一部を待つあいだに、細かい損失を何度も受け続けることになります。

最近の円安局面のように大きなトレンドが出ると、ゴールデンクロスは素直に機能します。トレンドが大きいほど効き、レンジに入ると一気に損が積み上がる。
20年相場を見てきた私のイメージも、この内訳とほぼ同じです。1本の線で売買するなら、レンジの時期をどう耐えるかまで決めておく必要があります。
1本で勝とうとするより、次の章で紹介する使い方で遅れとダマシを補い、時間足を選ぶほうが現実的です。
FXの移動平均線の手法:遅れとダマシを補う4つの使い方
移動平均線は弱点を補う使い方と組み合わせると、根拠の薄いシグナルを減らせます。ここで紹介する4つは、どれも最初の章で挙げた「遅れ」か「ダマシ」に効く使い方です。
- グランビルの法則:1本の線と価格の位置で判断する
- パーフェクトオーダー:3本の並びでトレンドの強さを見る
- マルチタイムフレーム分析:上位足の移動平均線で方向を決める
- 水平線との組み合わせ:重なる場所に絞ってダマシを減らす
グランビルの法則:1本の線と価格の位置で判断する
グランビルの法則はアメリカのアナリスト、ジョセフ・グランビルが考えた8つの売買の法則です。1本の移動平均線と価格の位置関係、そして線の向きから、買いと売りを4つずつ判断します。

引用:外為オンライン
買いの法則 | 価格と線の動き | ねらい |
|---|---|---|
買い① | 下向きだった線が横ばいから上向きに変わり、価格が線を上に抜ける | トレンドの転換 |
買い② | 上向きの線を価格がいったん下回るが、すぐに上へ戻る | 押し目買い |
買い③ | 上向きの線に価格が近づくが、割り込まずに反発する | 押し目買い |
買い④ | 下向きの線から、価格が大きく下に離れる | 行き過ぎからの反発 |
売りの4つは、これをそのまま逆にした形です。
この法則が遅れとダマシの両方に効くのは、2本の線の交差を待たずに判断でき、しかも線の向きを条件にしているからです。線が下を向いたまま価格が上に抜けただけの場面は買いの対象にならないので、価格が線をまたぐたびに売買するより、取引を絞れます。前の章の200日線のルールが、まさに「またぐたびに売買する」形でした。
ただし、買い④と売り④は流れに逆らう逆張りなので、ほかの6つより難度が高い点に注意してください。1本の線でも向きと位置をセットで見れば、使い道は大きく変わります。
パーフェクトオーダー:3本の並びでトレンドの強さを見る
パーフェクトオーダーは、期間の違う3本の移動平均線が順番どおりに並び、そろって同じ向きに傾いている状態です。上昇なら上から短期・中期・長期の順に並んで3本とも上向き、下降なら上から長期・中期・短期の順で3本とも下向きになります。

引用:HFM
日足なら、定番の5日・25日・75日の3本で見るのが一般的です。3本がそろうまで待つので、2本の交差だけで判断するより、方向感のない時期のシグナルを見送りやすくなります。並びが崩れ始めたら勢いが弱まってきたサインとして、決済を考える目安にもなります。
一方で、3本がそろったときには、上昇の一部がすでに終わっていることも少なくありません。遅れとダマシは、片方を減らすともう片方が増えやすい関係にあります。
パーフェクトオーダーは入る合図というより、「いまは流れに乗ってよい局面か」を確かめる道具として使うのがおすすめです。
マルチタイムフレーム分析:上位足の移動平均線で方向を決める
マルチタイムフレーム分析とは、長い時間足(上位足)の移動平均線で方向を決め、短い時間足(下位足)で売買のタイミングを計る方法です。下位足のシグナルのうち、上位足と同じ向きのものだけを使うので、流れに逆らったダマシを減らせます。

引用:OANDA証券
例えば、日足の25日線が上向きなら、1時間足では買いのシグナルだけを拾い、売りのシグナルは見送るといった使い方です。
この考え方は、前の章の「時間足で結果が逆転した」検証ともつながります。基準を満たした設定を参照時間の順に並べると、長いほどPFが高い傾向がありました。
このように優位性の高さが期待できる上位足の活用は、取引において非常に重要だと言えるでしょう。下位足だけで迷ったときは、まず上位足の線の向きを確かめる習慣をつけてみてください。
水平線との組み合わせ:重なる場所に絞ってダマシを減らす
水平線と移動平均線が重なる価格帯に絞って売買すると、根拠の薄いシグナルを減らせます。水平線は、過去の高値や安値など、価格が何度も止まった水準に引く横の線です。

引用:HFM
移動平均線にふれるたびに売買すると、取引の回数が増え、ダマシに付き合う場面も増えます。2つの根拠が重なる場所だけを待てば、回数が減るぶん、1回ごとの根拠は厚くなるというわけです。
例えば、上昇中に上向きの25日線と、以前の安値に引いた水平線が同じ価格帯に重なっているとします。価格がその付近まで下がってきた場面だけを、押し目買いの候補にするやり方です。
水平線は引く人によって少しずれるので、1本の価格ではなく、幅のある価格帯として見るのがコツです。線にふれるたびではなく、重なる場所だけを待つ。それだけで、ダマシに付き合う回数は減らせます。
FXの移動平均線の設定:よく使われる期間とおすすめ
移動平均線の設定は、線の種類と期間の2つで決まります。迷ったら定番から始めるのがおすすめで、その理由も約400万通りを検証した立場から説明します。
FXでよく使われる移動平均線は何?
FXでよく使われる移動平均線は、SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均線)の2種類です。どちらもMT4やMT5をはじめ、多くのチャートツールに標準で入っています。
SMA(単純移動平均線) | EMA(指数平滑移動平均線) | |
|---|---|---|
計算の仕方 | 一定期間の終値をそのまま平均する | 直近の価格ほど重みを大きくして平均する |
反応の速さ | ゆっくり | 速い |
弱点 | 遅れが大きい | ダマシが増えやすい |
遅れを減らしたいならEMA、ダマシを減らしたいならSMAを選ぶのが基本の考え方です。私の移動平均線の検証は、すべてSMAで行っています。
移動平均線は何日がいい?短期・中期・長期の目安
短期は5・15、中期は25・50、長期は75・100・200期間が定番です。例えば、短期は5日、中期は25日、長期は75日に設定すると、それぞれ約1週間、約1か月、約3か月の営業日の値動きにあたるため、区切りのよい期間の流れを確かめやすくなります。
区分 | 日足の定番 | 平均している期間の目安 | 主な見方 |
|---|---|---|---|
短期 | 5日 | 約1週間 | 直近の勢い |
短期 | 15日 | 約3週間 | 直近の勢い |
中期 | 25日 | 約1か月 | トレンドの向き |
中期 | 50日 | 約2か月 | トレンドの向き |
長期 | 75日 | 約3か月 | 大きな流れ |
長期 | 100日 | 約4か月 | 大きな流れ |
長期 | 200日 | 1年弱 | 長期の流れと節目 |
気をつけたいのは、同じ数字でも、時間足が変われば意味が変わることです。25本の線は日足なら約1か月分ですが、5分足では約2時間分の値動きしか平均していません。「何日がいいか」は、「どの時間足で見るか」とセットで決めてください。
移動平均線のおすすめ設定は?迷ったら定番の期間を使う
迷ったら、定番の期間をそのまま使うのがおすすめです。期間を細かく詰めるほど、過去の値動きにだけ合わせ込んだ設定(カーブフィッティング)になりやすいからです。
約400万通りを検証して実感したのは、成績表の1位がそのまま使える設定とは限らないことでした。

純損益1位を使わない理由は、2つあります。1回あたりの利益が小さい設定は、スプレッドに負けやすいこと。PFが低い設定は、相場が少し変わるだけで使えなくなることです。
ドル円20年の4時間足でTP/SL決済を最適化すると、純損益の上位10件はすべて不合格で、合格の最上位は39位でした。
▶ 【ドル円20年×400万通り】純損益の上位10件が全滅した先に、何が残った?
数字を細かく詰めて1位を探すより、定番の期間のまま時間足と使い方を見直すほうが、過去にだけ合う設定をつかむ危険を減らせます。
移動平均線の設定に最強はある?時間足・スタイル別の目安
結論から言うと、どの時間足にも「最強の設定」はありません。ただし、時間足ごとに気をつける点と、使い方の目安はあります。
- スキャルピングの移動平均線、最強の設定はある?
- デイトレの移動平均線、最強の設定はある?
- 日足の移動平均線、最強の設定はある?
- 週足の移動平均線、最強の設定はある?
- 万能の設定はない:設定より先に時間足を決める
スキャルピングの移動平均線、最強の設定はある?
スキャルピングに最強の設定はありません。ただ、少なくとも定番の数字を5分足にそのまま置く使い方はおすすめしません。
5分足の線が見ている時間は短く、1回の取引で取れる値幅も小さくなります。そこに取引のたびにスプレッドがかかるため、利益が削られやすいと私は見ています。
検証の章の表のとおり、定番の5と25を5分足に置くと、最良でもPFは1を下回りました。一方で、移動平均線のクロスは5分足でも、定番とは別の数字なら基準を満たす設定が見つかっています。
5分足で使うなら、上位足の線で向きを確かめ、タイミングを計る補助にとどめるのが目安です。スキャルピングでは、最強の数字を探すより、コストに負けない値幅を狙える場面に絞ることが先になります。
デイトレの移動平均線、最強の設定はある?
デイトレにも最強の設定はありません。検証の章で見たとおり、30分足で教科書どおりのクロスを使うと、基準を満たす設定はゼロでした。
ところが、同じ30分足でも、利確と損切りの幅を決めて決済するTP/SLの方式に変えると、基準を満たす設定が9件見つかりました。実は私は当初、この9件を見落として「全滅」と書き、のちに訂正しています。純損益の上位10件しか見ておらず、基準を満たした中の最上位が純損益で327位だったためです。
同じ時間足でも、決済の仕方しだいで結果は変わります。デイトレで移動平均線を使うなら、入る合図と同じくらい、出口の決め方まで検証するのが目安です。
日足の移動平均線、最強の設定はある?
日足にも最強の設定はありませんが、定番の数字が通用した時間足です。検証の章の表のとおり、4つの時間足のうち、定番の5と25で基準を満たしたのは日足だけでした。
日足で通用したのは、線が見ている時間が長く、1回の取引で狙う値幅に対してスプレッドの負担が小さくなるからだと私は考えています。一方で、同じ日足でも、200日線1本で売買をくり返すルールは基準に届いていません。日足でも、使い方しだいで結果は分かれます。
日足は取引の回数が少なくなりやすい時間足でもあります。好成績でも取引が数十回しかない設定は、たまたまの可能性があるので、回数も一緒に確かめてください。
使い方の目安は、定番の5・25・75・200から始め、線の向きと価格の位置で流れを確かめることです。ただし、日足は1回の値幅が大きいぶん損切りまでの距離も広く、1回の損失が大きくなりやすい点には注意が必要です。
週足の移動平均線、最強の設定はある?
週足にも最強の設定はありません。週足の移動平均線では、13週・26週・52週がよく使われます。週足は1本が1週間なので、それぞれ約3か月・約半年・約1年の値動きを平均している計算です。
週足は売買の合図より、日足や4時間足で取引する前に、大きな流れの向きを確かめる使い方が向いています。
週足は取引回数が少なくなりやすく、検証しても「たまたま」の可能性が高くなるため、今回は検証対象から外しています。使う前にご自身の通貨ペアの過去のチャートに当てはめて確かめてみてください。
万能の設定はない:設定より先に時間足を決める
すべての時間足で通用する万能の設定はありません。そのため、設定を探すより先に、自分が取引する時間足を決めてください。同じ数字でも、時間足が変われば見ている時間が変わり、成績が逆転するからです。
スタイル | 時間足 | 私の検証でわかったこと | 使い方の目安 |
|---|---|---|---|
スキャルピング | 5分足 | 定番の5と25は負け越し | 上位足で向きを確かめてから使う |
デイトレ | 30分足 | 教科書どおりのクロスは基準を満たす設定ゼロ | 出口の決め方まで検証する |
スイング | 日足 | 定番の5と25でも基準を満たす組み合わせが出た | 定番の期間から始める |
長期 | 週足 | 取引回数が少なくなりやすく、検証の対象外 | 13週・26週・52週で大きな流れを見る |
ただし、時間足を長くすれば何でも通用するわけではありません。

同じ条件で回すと、手法ごとの向き不向きもはっきりします。
移動平均線・ボリンジャーバンド・RSIの3手法を、ドル円20年・同じ合格基準で比べたところ、逆張りの2手法はどちらも5分足が壊滅でした。移動平均線クロスは、5分足でも合格が出ています。
▶【無料】3手法をドル円20年・同じ基準で比べたら、勝敗を分けたのは何だった?
どの手法がどの時間足で効くのかは、同じ条件で回してみるまで分かりません。だからこそ、先に時間足を決め、その時間足で確かめられた数字を使うことが、設定選びの近道です。
まとめ:FXの移動平均線は「いらない」と捨てる前に時間足を見直そう
移動平均線は「いらない」と捨てる前に、時間足と使い方を見直す価値のある道具です。この記事のポイントをまとめます。
- いらないと言われる理由:遅れる、ダマシが続く、期間の正解がない、の3つ
- 教科書どおりの使い方:30分足のクロスは基準を満たす設定ゼロ。200日線1本もPF1.08で基準に届かない
- 時間足で結果が逆転:同じ5と25でも、5分足は負け越し、日足は基準を満たす組み合わせが126通り
- 弱点の補い方:グランビルの法則、パーフェクトオーダー、マルチタイムフレーム、水平線との組み合わせ
- 設定の目安:迷ったら定番の期間から。最強の設定はないので、先に時間足を決める
私が手法探しをやめたのは、移動平均線やMACDのような定番の道具でも、工夫しだいで通用すると気づいたからです。新しい道具を探す前に、いま手元にある移動平均線の時間足と使い方を、一度見直してみてください。

移動平均線クロスで基準を満たした設定は、ドル円20年で397通りありました。ただし、合格した設定がそのまま実運用に向くとは限りません。PFが基準ぎりぎりの設定は、相場が少し変わるだけで使えなくなるからです。
隣の数字でも成績が崩れないか、取引回数は足りているかまで確かめて、ようやく使う候補が絞れます。
▶ 【ドル円20年×400万通り】合格397通りから、実運用に耐える2つをどう選んだ?

コメント